maximam271828’s diary

あなたの人生に少しの砂利を

人は不合理な生き物である。

 私は17:00から営業開始の個人経営の居酒屋でアルバイトをしている。

 私を含め9人の学生がそこで働いている。時給は1300円で、今年の10月には1400円、経営状況を見て、12月からは時給が1500円になるらしい。しかも全員一律で。

 お客様からはアルバイト学生が全員高学歴な居酒屋として認識されているらしいので、一応全員物事に対する理解力があるという前提でお話を進めていきたい。

 私は、同僚から責任感が強く、とても論理的で、自分を律することができ、行動力があると評価されている。というか言われている。そう言われるいくつかの例を話してみようと思う。

 

絶対に遅刻しない

 めっちゃ普通や〜んと思った方。正解です。普通のことです。しかし、”普通”の大学生にとって遅刻しないということはどんな難しい試験よりも大変なことであるそうだ。少なくとも私のアルバイトする居酒屋では。実際、私以外のアルバイト学生は、先輩、後輩に関わらず、必ず10分程度遅刻する。彼ら曰く、

  • 「今日、この瞬間楽をしたい」
  • 「10分遅刻しても、給料に影響はない」
  • 「営業開始時点は、そんなに忙しくないことが多い」
  • 「君も、損をしているから遅刻したらいいよ」

とのことである。極端な例であって欲しいとは思うが、少なくとも、12年間の、義務教育+高等教育で”おとな”が血眼になって教えていた、”5分前/10分前行動”の教えは彼らの中には何ら残っていない。ここに学校教育の無意味さを見出すのは少し酷な話かもしれないが..。彼ら全員学歴で言えば、早慶上智以上の学歴の持ち主たちである。

今日、この瞬間楽したい

 わからないでもない。昨日の飲み会の二日酔いがまだ残っててとか、締め切りギリギリのレポートがあってとか、ついさっき彼女に振られてとかいう日には、10分程度の遅刻、仕方がない。が、私には”10分程度の今日の甘えより”も、”絶対に遅刻しない、欠勤しないというレッテルを貼られている状態での無断欠勤"の方が圧倒的に利益があると思うし、”社会人になってからの遅刻癖解消のハードル”の方がよっぽどきついと思うのだ。

 私が遅刻をしないというただそれだけのことで、周りの人は、責任感があると勝手に評価してくれる。店のために私が行動していると"勘違い”してくれている。とてもイージーだなと思う。

 私が遅刻しない理由は”親の教育のおかげ”が大半を占める。しかし、もう一つの理由が周りの大学生には衝撃的だったらしいから紹介したいと思う。それは結局、

自分を守るためである。

 毎回、遅刻せずに出勤し、どうしても欠勤する必要があるとき(コロナ禍での発熱)に分かり次第、迷惑をかけることに対する謝罪の旨を連絡することを、継続することにより、

  • 責任感があると勘違いしてもらえる。
  • 本当に精神が病んだり、通勤中に事故に遭って時間通り出勤できない場合、「あれっ、あいつ今日遅いな〜」と思ってもらえるかもしれない。

ということである。こっちの方がよくないか。自分が正常な時に、毎回10分甘えるより、きつい時に自動的に心配してもらえる方がよくないか。ということである。

 

10分遅刻しても、給料に影響はない

 これを言われたときは、衝撃を受けた。アルバイトだから、そんなにリスクを背負わない職種だから良かったものの、この人は将来の職場でも同じことを言うのかな?と衝撃を受けた。しかも、責任感があるねと、私に言ってきた話の流れの中でのことだったから、その人の言う”責任感”はとても皮肉めいた言葉に聞こえ、かつ自身に責任感がないことを暴露しているようなものだなと思った。繰り返すが、これがアルバイトだったから良かったものの(いやアルバイトとか、仕事とか本来は関係ないと思うが、自分に言い聞かせているのだ)、一緒にフルタイムで働くことはできないなと感じた次第である。

 

営業開始時点は、そんなに忙しくないことが多い

 そんなことはない。お客様がいなくても、トイレ掃除、机の清掃、醤油や割り箸の補充などなどやるべきことはたくさんある。さらに、17:00ちょうどから時給として給料をもらっているわけだから、その分の働きをする必要があると思うが、これは非常に難しい。

 彼らは高学歴で、努力をすれば、このアルバイトの2倍、3倍の給料をもらえるかもしれないのである。彼らからすればこの店を”選んであげている”し、アルバイトというものの性質が学生からすれば”いかに楽をして稼ぐか”であるから、なかなか”しっかり働く”ということができない場合が多い。

 こんな価値観でも大学を卒業すれば、彼ら高学歴帯の人たちはちゃんと就職すれば、自動的に時給換算2500円になるのだから、日本社会はよくわからないな〜と、正直ものがバカを見るな〜と思っている。

 

君も、損をしているから遅刻したらいいよ

 いや、呆れた。100歩譲って、彼らのユニークな価値基準において、私に対し、「損してるよ」というのはまだわかるが、「君も遅刻した方がいいよ」というのはどういうことだろうか?

 数学の相似を概念的に応用して、遅刻することが社会的に”悪”であるとすると、

遅刻すること:犯罪=君も遅刻した方がいいよ:君も犯罪したほうがいいよ

という概念式が、私の中で完成してしまう。もちろん大袈裟だということはわかっているが、某国のように、人を殺すことが正義となる戦争中において「君も殺した方がいいよ」と言われたら彼らは人を殺すのだろうか。

 

 となどと、書いてみたが、どうだろうか。会社に遅刻する人たちの言い訳は、渋滞、子供、夜型、通勤電車の事故、訃報、体調不良...と多岐にわたる。あなたが将来”言い訳”する時にexcuse(名詞だと言い訳という意味で動詞だと許すという意味)してもらえるように、自分のキャラを作り上げることは自衛の手段として有効だと思う。

 

ちなみに私は30分前行動である。